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   好きな人 好きじゃない人
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「おい、メディオン!目ぇ覚ませよ、おいっ!!」
ようやくレモテストに到着したジュリアン軍は、メディオン軍との再開を果たした。
決して、望まざる形で。
「おい・・・目ぇ覚ませよ!!おい!!」
「ジュリアン・・・・・・」
必死にメディオンを揺り動かしているジュリアンに声を掛けたのは、ケイトだった。
「・・・・・・あなたって・・・・・・メディオン様とデキてたの?」
その瞬間、ジュリアンはまるでバナナの皮でも踏んづけたように、見事につるっと滑った。お約束だが、頭をごんっと打って。
「な、な・・・何だよ、ソレ・・・おまけになんで・・・で、デキ・・・?」
なんとか立ち直ったジュリアンだが、驚きのあまりに言葉がうまく出てこない。
「え?だって、前から怪しかったじゃない」
平然と、ブリジットが言い放つ。ジュリアンは意識が繋がらないらしく、口をパクパクとさせている。
「あら、ジュリアン様、金魚みたいですわよ。確かに、怪しかったですわね」
ジュリアンにツッコミ(?)を入れて、ブリジットの言葉に同調するのはイザベラ。
「怪しかったですよね、ホント。アスピア城を出る時のメディオン様とか」
「あー、あれは怪しかったわよねー。なんかものすごーく文字とか大きかったし」
「4倍角・・・それ以上でしたっけ?それに、あの時だって・・・」
『かしまし娘・デストニア』のメンバーの3人が、決して上品とは言えない話題に花を咲かせている。
「おい・・・・・・」
「ほら、あの時だって!どこかの船に乗った時なんか、シンテシスが同室だったって言ってたんですよ!」
「えーっ!?!?そ・・・それは決定的ね・・・」
「おい・・・・・・っ・・・・・・」
ジュリアンは肩をふるふると震わせて、かしまし娘達の会話を耳に入れている。聞こえているかどうかは、定かではない。
「やはり・・・・・・ですが、グラシア様との間柄はどういたしますか?」
「あ、そういえばそうですよねー。どうしましょう?」
「そうですね・・・・・・グラシア様は・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ジュリアンの肩の動きが止まった。顔に影が掛かり、まるで死人のようである。
「やはり不倫ですわね。三角関係」「いいかげんにしろーっ!!!!!」
奇しくも、イザベラの発言とジュリアンの叫びはまったく一緒のタイミングであった。
「大体不倫って何だよ不倫って!?!?結婚してるッつー事か!!っつーか何でオレとメディオンとグラシアなんだよ!?あーもー何で男なんだよコルァー!!!」
やはり言語不明確になっているジュリアンに、またイザベラがツッコミを入れる。
「あら、よく聞こえましたわねジュリアン様。さ、この話はこれぐらいにしましょう。ブリジット、ケイト」
「えー?もーちょっとやりましょうよー」
「そうですよー。それにシンビオス殿が関係しているのかどうかも気になりますし」
「あら、その事は私だって気になりますわ。レモテストで皆様から情報収集いたしましょう。ですから、今はメディオン兄様達をお助けしないと」
ブリジットとケイトが、思い出したようにあ、と呟く。
「あ、そっか。メディオン様元に戻さないと」
「やーねー。夢中になっちゃって忘れてたわ」
2人があはははと笑い出す。
「・・・・・・な、なんかめっちゃ疲れたな・・・。それに、元に戻すっつったってどーすんだよ、一体」
「あら、メディオン兄様の事ですから。私分かりますわよ」
ぽん、と胸をたたくイザベラを、ジュリアンが呆れたように見る。
「・・・・・・どーすんだよ、一体」
「あら、簡単ですわ」
「え?ど、どーやるんですか?イザベラ様」
ケイトの質問に、イザベラは落ち着いて答える。
「簡単ですわよ。そこで見ていなさいな」
「・・・・・・分かってんならとっととやれよ、姫様」
「ちょっと、イザベラ様に無礼な口聞くんじゃないわよ!!」
「ブリジット、落ち着きなさいな。・・・あ、ですがこの方法だとメディオン兄様にしか効かないと思いますの」
イザベラが、ようやく思い出して呟く。
「・・・・・・メディオンにしか効かなくってももーなんでもいーから、とっととやってくれよ」
「分かりました。・・・・・・メディオン、朝ですよ。起きなさいな」
ブリジットの「だからイザベラ様に無礼な口聞くなー!!」という絶叫(?)を聞き流しながらイザベラの言った言葉に、ジュリアン軍全員が固まった。
「おい!!んなもんで起きる訳ねーだろ!?」
「あら、効いてるみたいよ。ほら」
なんとか立ち直ったジュリアンのツッコミを、ケイトがさらりと流す。ちなみに、この2人は実はうすうす気づいていたので、石化からは逃れられた。
次の瞬間、『かしまし娘・デストニア』のメンバー以外の者全員が綺麗に固まった。本当に、綺麗に。
「ん、んー・・・・・・もうそんな時間ですか?母上」
「ほら、起きられましたわ。皆様・・・・・・あら?どうなされました?」
石化している仲間たちに、イザベラが心配そうに問う。
「おや、イザベラ。それにブリジットに・・・・・・ケイト、だっけ?どうしてこんな所に?」
「メディオン様ぁ・・・名前忘れかけないでくださいよー・・・」
「ああ、すまない。・・・・・・あれ、キャンベル?グランタック?どうしたんだ?」
「実は、かくかくしかじか」
ブリジットが、身振り手振りで説明する。
「え、そ、その・・・かくかくしかじかでは、分からないよ・・・?」
「考えてみれば、その通りですわね。実は・・・・・・・・・・・・・・・」
ブリジットに代わり、今度はイザベラが言葉で話す。
「・・・・・・・・・と、いうわけですの。ですから、キャンベル様やグランタック様達は、どうすれば良いのかわからなくて・・・・・・」
「ああ、キャンベル達は・・・。ど、どうしよう?」
「あら、珍しいですね。メディオン様が狼狽えるなんて」
ケイトがくすくすと微笑みながらメディオンを見る。
「ケイト、笑ってる場合じゃないわよ、どー考えても」
「あ、それもそうね。どうしようかしら・・・」
ブリジットのツッコミに、ケイトが真顔で応える。
「本当に、どういたしましょうか・・・・・・あら?ジュリアン様?」
すっかり存在を忘れられかけていたジュリアンは、またもやふるふると震えている。
「・・・・・・い・・・」
「胃?腹でも痛いの?」
「ブリジット、汚い言葉を使ってはいけませんわ。『お腹』と言わないと」
ブリジットの言葉に、イザベラが注意する。
「あ、そうですね。私とした事が」「いいかげんにしろーっ!!!!!」
またもや、合わさった絶叫(叫んでいるのは一人だが)が響く。今度はブリジットと
ジュリアン。
「マジでいい加減にしろよてめーら!!メディオンもそんなモンで起きるんじゃねぇ!!」
「イザベラ様に無礼な口聞くんじゃないって何度言ったら分かるの!?!?」

ブリジットが、ジュリアンの叫びの途中でやはり叫ぶ。
「大体あんたはねぇ、敬語ってものがまったく出来てないわ!目上の方の事は敬いなさい!!」
「目上ってなんだよ、目上って!!それに、言葉づかいなんか別にどーだっていいだろ!?」
「どーでもよくないから言ってんじゃない!!そんなんだと、これから先困るのはあんたよ!?」
「口うるせーかーちゃんみてーな事言ってんじゃねー!!」
「ブリジット、ジュリアン様。もうその辺にしておいたらいかがですか?」
放っておいたら、おそらく永遠と続いていただろう痴話喧嘩・・・もとい、口喧嘩を抑えたのはイザベラ。
「イザベラ様のおっしゃる通りよ。いい加減にしといたら?」
ケイトも、それに同調する。
「・・・・・・はい、分かりました・・・・・・」
さすがのブリジットも、イザベラの言葉に逆らうわけにはいかない。
「・・・・・・わーったよ。んじゃ、そいつらどーすんだよ?」
くい、とジュリアンの指差した先には、微動だにしないメディオン軍のメンバーがいる。
「ああ、本当に・・・どうしたらいいのだろう?」
今まで会話に入ってこれなかったメディオンが、ようやく口を開いた。
と、その時。
「お困りのようね、ジュリアン?」
すう、と空から何かが降りてきた。その正体は、そう、ご存知の通りのジェーンである。
(・・・でましたね、やっぱり)
(ええ・・・私も予感がしてましたわ)
(やっぱりね・・・本当に、どこかにセンサーでもついてるのかしら?)
かしまし娘達が、話題になっている本人に聞こえないように、ひそひそ声で井戸端会議(の様なもの)をしている。
(そうかもね・・・。・・・・・・センサーっていったらさあ、ブリジット、あなたの頭のそのツノって、何?)
(え?コレ?これはねぇ・・・・・・)
「聞こえているわよ、そこの3人」
びくっ!!とその声に反応して、3人の肩が大きく震える。
「・・・・・・まあ、いいわ。じゃあ、この人達を元に戻せばいいのね?ジュリアン」
「・・・・・・あ、ああ。よろしくな」
心なしか、ジュリアンの声が震える。・・・・・・怖かったのだ。さっきの彼女の声が。
「・・・・・・はい。これで戻ったわ」

・・・・・・・・・ここからは、申し訳ありませんが省略させて頂きます(死)。この後、キャンベル達は元に戻り、ジェーンはワルキューレに連れ去られてしまいました。そして、その後直ぐにシンビオス軍が来て、3軍は無事揃いました。ジュリアンは、内心気が気でありませんでしたが、とりあえずは平静を取り繕って、レモテストに入りました。粗筋だけですが、これにて。何故敬語になっているかは、ツッコまないでください(爆)それと、グラシア達がちっとも出てない事も・・・ゲフッ(吐血)!!

お・ま・け
「なあなあシンビオス!こいつさあ、レモテストで実は・・・・・・」
「・・・・・・それ以上言ったら君の身の保証は出来ないよ?ジュリアン」
「げ!メディオン・・・いつからいたんだ!?」
「さっきからいたよ、ジュリアン」
「・・・・・・え?そうだったのか?シンビオス」
「うん」
「とにかく、それ以上は何も言わないでくれ。ジュリアン」
「・・・・・・分かったよ」

「ねえブリジット。この間の続きだけど、その頭のツノって何?」
「ああ、これの事ね。母星からの電波をキャッチして、皆に少しづつ浴びせ掛けてるの。そして、いつかは皆母星の人の食べ物になるの!」
「・・・・・・え?」

・・・・・・これってギャグおち?






<覚え書き>
ゆーき様作第2弾!我が図書館も潤いつつあります。
笑わせていただきました。やっぱりメディ様ってマザ・・・(センチュリオンが)
ジェーンはやっぱり不気味な存在です、しかしブリジットは更に不気味なことに気づきました。
一体あの角は?@単なる飾り A攻撃&防御用 B食人のための洗脳電波発信
クイズが出来てしまいました。さてどれでしょう?(作るな)
2001年3月12日編集