暗き深淵で想うこと




















自分にとって 只一つの至高の存在を目にした時から



これこそ己が手に入れるべき 運命であるのだと



若き日の はじまり















お前はいつの間にか心の奥底へ入り込み たちまち自分を虜にした



心奪われ 魅せられ お前を追い求める



その為に 全てを捨てるに至るまでの覚悟を携えた















他のモノは何もいらなくなり



次第に何も見えなくなっていった















お前を手に入れた後の自分は 更なる力を求めるのだろうか?



否 今はお前だけを手に入れることを考えよう















雲を掴むより幻なのかもしれない



或いは手に入れたと同時に幻に成り代わるやも知れぬ



全ては刹那の満足感を味わう為に



ただ一瞬の至福を執拗に追い求めた

























迷いは過去に置き去りにしてきたはずであった



しかし 迷いの方が後からヒタヒタと音無く自分をつけてきた















力が欲しいと 渇望する自分と



力を手に入れた果ての自分は その後で何を考えるのだろうと















力は力でも「権力」・・・そのような俗なものには最初から興味などない



あったとすれば 自分しか持っていない「唯一」の力の誇示

























迷いの頂点



隙だらけの自分

























強く甘い力に誘われ 呪われしかの地へ



待っていたのは不浄の罠



迷いを見透かすように魔の者は自分のわずかな隙を見逃さなかった















中途な己の力は己を破滅させた



中途な己の望みは己を失墜させた















今の自分は操り人形



今の自分は生きる屍



目の前に広がるのは暗き闇



一面闇色



決して日の目を見ることの出来ない 深淵の底辺















・・・いや むしろ自分の瞳は もはや何も映していないのだ



とんだ茶番だ

























生きることは諦めた



ただ許されるのならば 今一度光をこの目で確かめたい



我々の命の源である 最も神聖な存在を



奇跡の存在を















原始からあったのに いつでもあるが故に見落としていたのだ

























暗き闇の中 一筋の光を待つ・・・




















<駄文>

前半はヌーンが追い求めているという、究極の召喚獣への思慕。
中半は力への渇望と葛藤、そして捕らわれの身になったところ。
最後は光を待ち望む感じで。
この後、シンビオス達(=一筋の光)がやって来て自由の身になれた、と。
2001年4月29日完成
2001年7月18日再編集
2008年2月22日加筆